よろしく哀愁

　深夜にテレビを見ていたら北千住に住んでる変な酔っ払いのおじさんが出てた。

ラフなシャツに麦わら帽子と丸メガネ、背中にはギター。

晩飯に富士そばでワカメそばを食べたらしく、歯にはベトっとワカメがこびりついてる。

コピー機の会社で事務をしていて３０年間平社員。

同じくらいの年数バンドミュージシャンをしている。

真黒毛ぼっくすって名前らしい。

年齢は５０代後半かな…

バツ２で１年前に２９歳の奥さんは好きな人ができたと出て行ったそうだ。

家の中は散らかり、風呂はカビで真っ黒。

そんな彼の口癖は「死にたい」

そんな彼に「こういう生活についてどう思いますか？」って聞いたところ

「いいんだよ、俺なんて。

仕事は出世したくないから仕事をただ毎日やるだけ。

音楽ができればそれでいいんだ…。」　なんて答えてる。

それでも最初の奥さんとの娘がギターを始めたことを素直に喜んでて少し泣けた。

こんな生き方をする人もいるんだなぁ〜…

音楽が人生の第一番。

憧れのミュージシャンはジョンレノン。

スーパースターとは真逆の生活なのに、少しかっこよく見えた。

絶対真似はしたくないけど（笑）

　そういえば昔高校のツレと話してて、自分の人生で一番大事なのは草サッカーって言ってたなぁ…。

仕事はどうでもいい、サッカーさえできれば…なんて、あのおじさんと同じことを言ってた。

そんな彼も今や２人の娘をもち、２０年前と同じ給料で契約社員。

今でもたまに草サッカーをしている。

たまに会うと「はやくお前に追いつきたいよ」なんて訳のわからんことを言う。

別にリードはしてないのだが（笑）

とにかく現実に不満があるらしい。

しかも自分が暗黒の３０代のどん底にいた時、

「人生逆転できると思っとるんか」と言い放った彼。

先のことを考えず、好き放題やって２０年経ってからどうしようも無くなったことを愚痴るのはかっこ悪いぜ。

どちらも少し寂しい人生だけど、その現実を受け入れているだけ真黒毛ぼっくすさんはかっこいいかな…

歌も哀愁が漂ってなんだかいい感じだし。

　人生は思っているより短い。

だから自分が本当にやりたいことを貫くのは生き方として間違いじゃない。

でも「何も考えず今やりたいことだけ」を優先するなら、それなりの覚悟が必要。

面白い人生を送るのも送れないのも全て自分次第。

ゲームとLINEに明け暮れてる中学生ってそんな自覚…ないんだろうなぁ…

自分もそうだったし（笑）

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